その顔はまさしく──

「ベリル……?」

 自分が思い描いていたような快活な動きとは違い、なめらかで優雅にそれでいて鋭く突き刺さるような視線にゾクリとした。

 豹やピューマを見ている気分にかられ、無意識に体が震える。

 青年は掴みかかろうとする男の手を左脇からすり抜け、その脇腹に肘を打つ。

「ぎゃっ!?」

 男は与えられた激しい痛みに脇腹を押さえた。

 それを一瞥し、背中合わせの状態からくるりと回り反対の脇腹にナイフを沈ませる。

「こっ、このっ!」

 あまりの見事な動きについていけず、男たちは慌てている。

 一斉に攻撃しようにも、青年の動きが読めず合図すらかけられない。