朝──こげたパンと目玉焼きに眉をひそめるサムをスルーし2人は朝食をいただく。

「文句言うなってか……解ったよ」

 席につき仕方なく食べ始めるが、苦みが口の中に広がってとても渋い顔をした。

「よくこんなの毎日食べられるよね……」

「毎日不味い訳じゃないよ。昨日と今日はたまたま美味しく出来なかっただけで……」

 さすがに僕だって、毎日不味かったら抗議の一つもする。

「今日は難しい患者さんが来るから帰れないかもしれない」

「解った」

 食べ終わってレイを見送り、自分の部屋に上がっていくその後ろをサムがくっついてきた。

 デスクに腰掛け読みかけの本を手に取ると、少年はそれを見て暇そうにベッドに体を投げる。

 相手をしてくれないアザムの背中を、ふてくされて睨み付けた。