今から7年ほど前──10歳のときに戦争孤児であるアザムは、アメリカの製薬会社の社長に里親として引き取られた。

 しかしそれは口実で、その男は彼を『生きた荷物』として新型ウイルスと抗体を同時に体内に忍び込ませテロリストに渡そうとした。

 その計画は社長の右腕だった青年、レイにより崩れ去った訳だが……それに大きく関係しているのはベリルという傭兵だ。

 彼の協力無しには全てを穏便に済ませる事は出来なかっただろう。

 アメリカ合衆国大統領にさえも、その力を誇示することが出来る唯一の人物──それは彼が『素晴らしき傭兵』であると同時に、その存在故に可能だとも言える。

 誰もが欲して止まない『不死』を持つ者。

 彼を捕えようと躍起になる組織などがあるなか、その素晴らしい戦闘センスは各国の知るところとなっており、もはや彼に協力しない国は無いと言ってもいい。

 しかし、そうおいそれとは表の人間が彼を知る事など出来るハズがない。