「なあ父ちゃん、オレ医者になりたい」

「ん? おお、そうか」

 自然とみんなの視線がレイに向かった。

「……」

 レイは嫌な予感に冷や汗を流す。

「クックッ……私もそれには協力しよう」

「それは良かった」

 助かったと胸をなで下ろした。

「今日は泊まっていけるの?」

「それで良いなら」

 そうして、それぞれの道を歩み出す──彼はそれを見守り続けていくのだろう。

 受け継がれていくものはその意志。

 強い意志は彼の手を離れ、広がっていくのかもしれない。