「その前に1つ聞く。
―――麗桜組って知ってるか」


「うん、知ってるよ。
全国No.1のヤクザでしょ?」


「そう。
それなら話が早い。



―――俺の名前は、柊月夜、じゃない」


「っは……!?」


「それは偽名だ。
理由は俺の実家がどこかを隠すため」






意味がわからない、とでも言うようにキョロキョロ視線をさまよわせる航太たち。


1つ深呼吸をして、ゆっくりと口を開いた。







「俺の本名は、






―――〝麗桜〟月夜」


「れ、いおう……、ってまさか……っ!?」


「たぶん航太たちが想像してるのは合ってるよ。

俺は麗桜組若頭兼次期組長」


「僕は、麗桜組若頭補佐兼次期副組長だよ」





目を見開き固まってしまったみんなにさらに続ける。





「勤は俺が見込んで、麗桜組に勧誘したんだ。
鍛えればアイツは強くなるから」


「……………」


「紅蓮組組長からの了承も得て、今うちにいる」





すっかり黙り込んじゃったここは、シーンと少し重い沈黙が続いた。


自分のなかで整理してるんだと思う。

だっていきなりこんなこと言われたら、仕方のないこと。


混乱だってするし、酷い人はパニックになる人だっているはず。



パニックにならず、自分で落ち着いて整理するのは、凄い。

さすが青龍、とでも言うべきか。