いつもワイワイと賑やかなここ、黒蝶の溜まり場。


その溜まり場である倉庫の裏にある空き地で、喧嘩をしている2人。



いや、喧嘩ではない。


喧嘩の特訓、だ。





「ケンちゃん、もう一回!!」


「少し休憩しようぜ、月乃。
体力もたねえよ?」





まだ中学一年生である月乃。

女の子で、華奢な小さな体。


しかし、喧嘩はそこら辺の男には負けない強さがあった。



ケンちゃん、と呼ばれた彼は、月乃に喧嘩する意味や本当の強さを叩き込む。




特訓は、とても激しくてキツかったに違いない。

だけど、月乃はめげず、休憩などせず、向かってゆく。




2人の顔は、真剣そのものだが、どこか楽しんでいるようにも見えた。






「うん、月乃は上達が早いな。

いいか、月乃。
喧嘩は、大切なモノを守るためにするもんだ。

意味のない、無駄な喧嘩はしちゃダメだ。
わかったな?」


「うん!わかった」






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