玄関には、暁たちの姿。


私たちを視界に入れた時、目をこれでもかってほど見開き、そして固まった。





「今日はお招き頂き…――――」


「そんな堅苦しい挨拶はいらねえ。
今日はのんびりしていってくれて構わない。
奥の広間で組長が待ってる」


「…じゃあ、お言葉に甘えて」






堅苦しい挨拶は嫌いなんだよ。


こっちがどうすりゃいいか、わかんなくなる。





「月夜くん…?
どうして、ここに?」






口を開いたのは、咲希斗の側近である慧兎だった。


数人連れてきていいって言ったから、側近が来るのはおかしくない。





「慧兎!
お前、月夜さんに向かって何て口きいてんだ!?」





私が誰なのか。

藍川組の組長も、鐘田組の組長も。
紅蓮組の組長から聞いて知っているみたいだ。



だから、注意したんだろう。

でも、畏まられたりとか私嫌いなんだよね。





「藍川組長。
注意することじゃない。
逆に、畏まらなくていいんだけど」


「そういうわけにはいきませんよっ!」




「若!
ご案内は私共がやります!
若たちにご案内させるわけにはいかないですよ!!」





藍川組長が言ったのと同時にやってきた、麗桜組下っ端組員数人。


もの凄く慌てよう。