その声は、どこか冷たくて、どこか…暖かかった。





「トラウマって…?」


「咲希斗。
もう止めろ」


「暁!でも……っ」


「咲希斗は、理人の顔みて何とも思わないのか」


「え、っ顔……?
っあ………」





恐らく。

恐らくだけど、…理人も辛いんだろう。


私、理人にまで辛い気持ちにさせて何やってんだろうか。





「月夜、くん……?」


「…っあぁ、わり。
入るか。
………大丈夫か?」


「…うん」





深呼吸をして、…襖を開けた。


思った以上に暗い雰囲気の室内。


うわ、この雰囲気私嫌い……。





「理人、わり、遅れた」


「…っ、遅いよ、月夜。
待ちくたびれちゃった!
もう少しでヤバいところだったんだから〜」





無理してるってバレバレだよ。


ごめんね、理人。
私のせいで。


言葉には出来ないから、かわりに頭を撫でた。