「ねえまっちゃん!!
教えてよ!!!」





咲希斗の叫び声。


あの咲希斗が声を荒げるなんて……。





「だから。
もう直ぐわかるって言ってるでしょ?」


「いっつもそればっかり!!
もう直ぐって一体いつなの!?
前からずっともう直ぐって言って、まだ何も教えてもらってない!」


「もう直ぐって言ったら、もう直ぐなんだよ。
本当にすぐだから」


「僕たちは〝今〟知りたいのにっ!
後回しにされるのはもう嫌だ!!!

ねえ答えてよ!
つっくんやまっちゃんは何者なの!?
ここはどこなの!?
八木原って勤のことなの!?」






………さき、と。

咲希斗の声は震えていて、泣いてるってすぐにわかった。


今まで溜まっていた鬱憤が爆発したんだ。


いつまでも何も言わない私たちのせいで。






「………。
いくら咲希斗が泣こうとも、僕の口からは言えない。
月夜なしに、勝手に言えることなんかじゃないんだ」


「僕たち友達でしょ…?!
友達でも言えないって言うの……?」


「ああ、言えない。
友達だからこそ、今まで言えなかった。

僕たちの秘密は、そんな軽いものなんかじゃない。

聞かれて、あっさり答えられるような秘密じゃないんだよ。

……僕や月夜たちにだってね、トラウマってもんがあるんだ」






理人はいかにも冷静に咲希斗を宥めるかのように言い放つ。