太陽王と月の少女




「お前が……神官か」


思わず間の抜けた声を出してしまいヘリオスはそれを誤魔化すように続けた



「最高位の神官と聞いていたが、お前歳はいくつだ?」



ヘリオスの尊大な言い方にセレーネの形の良い眉がピクリと動く

そんなガキに勤まるのか、とヘリオスは言っているのだ



「今年で十六になります。しかし、ヒュペリオンの王は年齢を気にして、見合った地位にあるべき者を見落としていらっしゃるようだ。お気をつけ下さい。太陽の国だというのに陰ってしまう」



空気が凍り付いた
ヘリオスの傍に控えていたセドリックはごくり、と喉を鳴らした
広場に集まる貴族たちに緊張が走る


セレーネはヘリオスに対して暗に言ったのだ


人の才覚に気付かないお前で王が勤まるのか?