太陽王と月の少女




ヒュペリオンでは王こそ神に最も近い尊い存在



そう教えられてヘリオスは育った
それに恥じないように自分を律し、何事も完璧にこなしてきた
そして、誇りを持ってヒュペリオンの王となった



だから、アルテミスの神官主義は馬鹿馬鹿しいとさえ思っていたのに………

眼を奪われるという感覚をヘリオスは初めて知った





「お初にお目にかかります。アルテミスの神官、セレーネと申します」






毅然と顔を上げて、凛とした透明な声で言い放つ

少年……少女のようにも見える幼さを残した面立ちの少年にその場にいた全ての人間が惹き付けられる


ヘリオスは目を見開き、その異質な少年を見つめる


見たこともない黒い修道服、それと同じく高く結い上げられた漆黒の髪


そして、銀色の瞳



それと、ヘリオスの蒼い瞳が交わる




銀の瞳が笑ったような気がした