セレーネの歓迎パーティーは盛大に行われた


オコナー男爵の屋敷は華美な装飾がこれでもかというほど施されていた


集まった貴族達に一通り挨拶をし終えて、セレーネはバルコニーに出た


(やれやれ、愛想笑いは見飽きたな……ん?)


人の近づく気配がして振り向けば、そこにヘリオスがいた
相変わらずヘリオスはセレーネの前だと不機嫌そうな顔をしている


(そこはある意味良いところかもね……)


「おい、お前何してるんだ」

「夜風に当りに」


クスリとセレーネは笑う
それを見てヘリオスはムッとした


(小生意気な奴だ)


「このように派手なパーティーは初めてですので、人波に酔ったのかもしれません」

「確かにな」


ヘリオスは軽くため息混じりに言った
セレーネはキョトンとする
嫌味の一つでも言うかと思っているのだろう
だが、本当のことだ


「オコナー男爵の好意は助かるが、私も派手なパーティーは好かない」