ミリアは心配そうに呟く
「本当にばれてはいませんの?心配ですわ」
「大丈夫だよ。そう簡単にばれやしない」
だが、とヒースはいつもは表情の乏しい顔に不安げな色を浮かべる
「用心に越したことはない。気をつけるんだぞ」
「わかったよヒース」
セレーネは先ほどの事を思い返す
国境での儀式の時もアルテミスの国民とは違い明るい髪の者は見たが、あの王の髪は誰より光りを弾いく黄金色だった
あれは気に入りかけたが、その後の態度がいけなかった
あんな威圧的な態度は何様のだというのだ
ヒュペリオンでは絶対王政だから仕方ないと言えばそうだが、アルテミスにはアルテミスの誇りがある
「今日はもうお休みなさいなセレーネ、疲れたでしょう?」
「うん、そうする」
ミリアの労りの言葉にベッドに横になったままセレーネおとなしく休むことにした
明日からはまた忙しい日々が続くのだろうから


