太陽王と月の少女




あどけなさを感じる愛らしい笑顔で神官セレーネはヘリオスを見る


セドリックはヘリオスから激しい怒りのオーラを感じて冷や汗を流す


(あの神官……プライドはヘリオスと同じくらい高いな)



ヘリオスもにっこりと微笑む
しかし、目は笑っていない


「ほう、アルテミスの神官殿は当たらないお告げでも聞いたようだな」


「神の言葉は崇高なもの。先ほどの言葉は赤子でも口にできることかと」



二人は穏やかな口調で嫌み合戦を繰り広げる
聞いている方は冷や汗ものだ


そして、あらかた嫌みをいい終えるとヘリオスは言った


「神官殿、貴方を喜んでヘリオポリスへ迎えよう。せいぜいその頭を隠していることだな。カラスと間違われないように気を付けろ」



ヒュペリオンではまず見ることのない漆黒の髪
それは、金色ばかり集まるこの場においては一際、異質な輝きを放っていた

そんな揶揄にもなんら動じずセレーネは終始にこやかだった