分かっていた……
こうなることなんて……
そう、あたしは嘘をつき続けていたのだから。
《現在、結婚してるって事ですか……》
飛翔くんから送られてきたメールはあまりにも他人行儀のもので、あたしの心はあっとゆ~間に打ち砕かれた。
それでも真実に何の変りもない。
《うん》
その2文字を送るのが精いっぱいだった。
違う、もう他に打ち込む言葉などない。
好きだったから隠した
嫌われるのが怖かったから言えなかった。
もはや、そんな言葉たちを並べようと、飛翔くんを傷つけたことには変わりなくて
きっとそんなことはもう、どうでもいいのだろう。
彼はきっと、あたしにここまで騙され続けていたとしか思わないだろう。
だった所詮〝飲み屋の女”でしかない。
初めて出逢い、席に着いた瞬間に
『どうせ営業だろ?この前TVでキャバ嬢の特集やってたけど裏側ってひでぇ~な』
そう鼻で笑い、あたしに冷たい眼差しで見つめてた彼の言葉
あれはきっと間違いじゃないのだろう
飛翔くんもそうに思ったに違いない。
最低な女だ
やっぱりあたしは何も変わることなく、自分の心が満たされるために飛翔くんを利用した。
好きだとか
愛だとか
そんなものやっぱり錯覚なんだ。
結果、あたしは飛翔くんという真っ白で、冷たい眼差しを送る彼を傷つけてしまったのだろう。



