翼を失った時から捨ててきたもの。


それなのに心を手に入れた時に再び抱えてしまったもの。


あたしの中で少しずつ動き始めている……


そんなの置いてくればいい


無くしてしまえばいい



それなのに、あたしは飛翔くんを失うことが怖い。



欲……どうしてそんなものが再び動き始めてしまったのだろう。




そんなのがなければ、飛翔くんを傷つけることないのに……



だけど、もうこれ以上……



その後は、いつも通りにメールをして、


《もう明るくなってきたよ~!!》っていう飛翔くんのいつものメールにあたしは


《そろそろ寝ようか♪》なんて普段通りに返信した。


《おやすみ!!》


《おやすみ~》


そのメールを送った後、あたしは飛翔くんのフォルダーを開き今までのメールを読み返す。



1つ、1つ全て……



《流奈が好きなんだ…頭がいっちゃうくらいにな》


そのメールに辿り着いた時、あたしの眼からは再び涙が溢れてきて、もう止まることはなかった。



そのメールだけを保護すると、サブメニューを押す。



削除の項目に合わせると、静かに目を瞑った。



消してしまおう……


このメールを全て。


そうして、あたしは最低な女で終わればいいんだ。


大きく息を吸って削除のボタンを押した。



その時、小さな携帯があたしに問いただす



“メールを全件消去しますか?”


と……。


まるで……


“その想いを消すことができますか?”



そう聞かれたようなようがしたけど、“はい”の項目に合わせてあたしはボタンを押した。