どのくらい時間が経ったのだろう……
次のメールが受信するまで、あたしはずっと携帯を見つめていた。
冷めた女だと思った?
ガッカリした?
飛翔くんが描いていた女じゃなかったはず。
あたしは、飛翔くんとは住む世界も生きてきた道も違う。
それに綺麗な心の持ち主ではない。
綺麗なものを綺麗だと
悲しいことを悲しいと
嬉しいことを心から喜べるような
そんな素直な心を持ち合わせてはいない。
ずっと……なんてものを素直に信じられるような可愛い女でもない。
“受信メールあり”
そうあたしの携帯の画面にメールマークがついたとき、同時にメールを知らせる黄色いランプが真っ暗な部屋で光放っていた。
蛍みたい……
咄嗟にそう思い、規則的に点滅するランプを暫く見つめていた。
携帯を手に取りそれを開けば、自ら作った飛翔くん専用のフォルダーにマークがついている。
ずっとなんてないと言い切ったあたしに、彼は一体どんな言葉を送ろうと考え送信ボタンを押したのだろう。
こんな女もうどうでもいいとでも思っただろう。
フォルダーにあるメールを開くとあたしは自然と涙が零れていた。
《あるよ…俺は先の見えない恋愛なんてしたくない、そんなの恋愛なんかじゃねよ!!》
《じゃぁ、先の見えない恋愛だったら?》
きっと目の前にいたら、飛翔くんと口論になっていただろうと思った。
彼は真っ直ぐな人だから……
自分の気持ちを真っ直ぐな言葉でぶつけてきただろう……
《先の見えない恋愛は不安にさせるんだよ…》
続けて送ったメール。
先の見えない恋愛……
あたし達はきっとそう。
先が見えているなら、傷ついたり苦しんだりなんてしないんだ。
ずっと……
それは、あたし達にはない。



