《でもさ、好きでもどうにもならない事もあるよね》
《どうにもならない事なんて、そんなのねぇ~だろ?一概にとは言えないけど》
その時、今日の荒井さんとのやり取りがまた、あたしをどんどん深い所に落としていく。
《そうかな…あると思うよ?どんなに好きでも…好きでもさ我慢しなきゃいけない事とかってあると思うの。》
《なんで?なんでそんな事言うの?》
《だってさ、好きな気持ちなんていつ変わるかどうかなんて分からないでしょ?》
人の気持ちなんてわからない
愛を誓い合った二人だって、別れることも離れることもある。
飛翔くんと知り合って、あたしは色んな気持ちが浄化された気がした。
自分の真っ黒い部分が少しずつ洗われているようなそんな感覚。
だけど違う。
違うんだ……
気持ちになんて保障はない。
絶対もない。
《そうかな…俺は本当に2人の気持ちが確かなら、ずっとはあると思う…》
ずっと……
ずっと……
そんなものある訳がない。
形あるものは壊れてしまう
形を変えていく……
《ずっとなんてないよ》
気が付いたら、冷めた自分ですべて支配されて行って飛翔くんのメールも鼻で笑ってしまった。
やっぱりあたしは、ずっと真っ黒いままなのだろう。
錯覚していただけだ
飛翔くんを好きになって、自分の気持ちに新鮮さを感じてたふりをしていただけ。
“送信しました”
その文字を見つめながら、あたしは目を閉じた。



