嫌われてしまった方が楽だっただろう

飛翔くんがそんな辛い思いをするならば、いっそのことあたしが大嫌いと突き放せば良かったのかもしれない。




飛翔くんは、またあの冷たい目をしたままなのだろうか?


ちゃんと笑っているのだろうか?



「中西くん、今まで色々ありがとうね」



そう、精一杯の笑顔を作り笑いかけると「何も出来なかった」と肩を竦めてはあたしから視線を反らした。



「ううん、ありがと☆」



そう言いながら、駐車場の方へと足を運んだ……



「流奈ちゃん、あのさ……」




背後から中西くんの声が、突き刺さってくる。




もう限界なんだ、振り向くことなんか出来ない……



夢から覚めた今、記憶に残っている翔くんとの物語をこれから抱えて歩き出さなくてはいけないのだから……。



車に乗り込むと、いつの間に電源を入れていたのか、入ったままだったのか、翔くんがとってくれたアルバムの曲が流れていた






“2人愛し合った日々が


永遠にこの胸の中で


輝き続けるだろうーーー”



タイミングがいいのか、悪いのかもう良く分からないが、いつも何気なく飛翔くんの隣で聞いていたこの曲も、今はすごく重く感じる。





「つばさくん………っ…」




“そしてまた


出逢える時まで


さようならーーー”







あたしの涙は溢れ続けたーーーー。