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「流奈ちゃん?」
店へ行く前にビデオ屋に寄ったあたしはその言葉にゆっくりと後ろを振り返った。
「中西くんっ!!」
「おおっ!元気してた?」
「元気、だよ……?」
そう笑ってみせたのに、あたしの目からは何かが零れようとしている。
中西くんを見た瞬間に、色んなことを思い出しこみ上げてきそうになる。
「そうだよな、辛かったよね」
その一言に、あたしは一生懸命止めていた涙が溢れて止まりそうにもない
そう、あたし辛かった……
凄く辛かったんだ……
苦しかった……
悲しかった……
寂しかった……
張り裂けそうだった想いが中西くんの一言で、溢れ出してくる。
「流奈ちゃん……」
「ごめっ、ごめんね……」
「泣いていいよ……」
溢れだしてくる涙、抑えきれなかった想い
そんなあたしの姿をとても悲しそうに見つめている中西くん………
「ぷっ、恥ずかしい…もう2か月も経つのにね、なんか空っぽ」
「それは、アイツだって同じだよ……?」
「えっ?」
「アイツだって、同じだから……」
「なんで?なんでよ……」
涙が止まらなかった、訳が分からなくて、苦しくて、逢いたくて
そうして出逢ってしまったのだろうと、やっぱり思ってしまっていた。
困ったような、瞳であたしを見つめる中西くんは卑怯だと思った。
そんな瞳であたしを見ようとするなら、溢れ出している涙も止まることはないだろうと……



