あの突然の別れから、あたしの携帯に黄色いホタルが現われることもなく


同じ音にしていた着信音が流れることもなくなった。




あたし達の唯一の愛の証であったメールの数々は、たった1つのボタンで綺麗に消去され、形としてもなくなってしまった。




だけど、ボタン1つであたしの中から飛翔くんが消えるわけでもなく、縛られ続けている心……



それが、どんなに辛く苦しいものなのか、きっとあなたには分からないだろう。





いきなりなくなったあなたの温度をあたしの体がまた求めて、店が終わってから電話した事もあった



出ないとも思ったし、突き放されるとも思った



なのに、なのにあなたは……


コールも鳴らずにあたしの電話をすぐにとり、



『どした?』なんて優しく言ってくれたから



『逢いたいの』なんて、勝手に言葉が出てしまった。



情けないと思ったよ、こんな自分がみじめだと……


プライドが高くて、そんなことを素直に言えるような女でもないくせに、あなたに縋りついたんだ



そして『甘ったれんなよ』そう、冷たく言ったあなたの言葉に涙が零れおちた







『お前の声、久々に聞いてドキドキしちまうじゃねぇ~かよ』


長い沈黙の後に、今にも消えそうな声でそう呟いたあなたの声を聞いた時



相変わらず口が悪かったけど、ほんの少しだけ出逢えて良かったと思った瞬間だった。