「いいからエアコンつけて?」


「えっ?」


少し、あたしにいやらしく笑みを残しながらエアコンのスイッチを入れると「これでいいの?」なんてあたしの体にしがみついた。


あたしの視線は、緑色に光るデジタルの文字を見つめていて、その文字が24℃と映ってることを確認すると「さむっ」と、スイッチを消した。


「はっ?」


「飛翔くん何かエッチなこと考えた?」


「え、えっ??ちが、ちげ~よ!!」


「嘘だっ!!エアコンのスイッチ入れる時いやらしい顔してたよ?」



明らかに焦っているその姿は図星だったに違いない、そんな飛翔くんを見ているだけであたしは凄く幸せだと思った。



「おまえなぁ…やっぱり不思議ちゃんだよ」



顔を赤らめているかなんて、この暗い空間では分からないが、でも飛翔くんが少なからず変なことを考えていたことは確からしい。



「いや、飛翔くんが鈍感なんでしょ?」


「えっ?なにが?俺は、えっ?でも俺は車の中でなんてそんな失礼なことは絶対しないぜ?」



その鈍感じゃないのだけど……



むしろ、このままだとあたしが誘ったみたいだが、それを否定する必要もないなと飛翔くんの言葉に続いた。



「エアコンの設定温度を見たかっただけだよ」



タバコを吸おうとしているのは落着きを取り戻すためだったのだろうけど、



それに火をつけようとした瞬間に、その行動はあたしの言葉に阻止されたのか加えたタバコは口から落ち転がった。



「あはははっ!!俺、変態じゃんかぁ~」



「そう変態っ!!」



「ああ、変態ですよ!!目の前にお前がいりゃしょうがいないだろ?」



そう言いながら、タバコを加えるはずだった飛翔くんの唇はあたしの唇を塞いだ。