「飛翔くんっ!!!!」


あたしは車から下りるとすぐさま、車の外で待っていた飛翔くんの元へ走り抱きついた。


「ったく、子供みて~だな」



そう言いながらも、飛翔くんの胸から聞こえている鼓動の音は速さを増しているのが耳に伝わってくる。



「うるっさい!!飛翔くんの心臓だって凄い速く動きまくってるよ?」


「うるっせっ!!聞くな!!」



そう言いながら、あたしを抱く腕の力が強まると、あたしの飛翔くんの腰に回している腕にも自然と力が入っていた。



いつの間にか、飛翔くんは長そでを身に纏っていてそれが季節の変わってしまったことを実感させていて



少しだけ悲しくなってしまう……




飛翔くんと出逢った夏、その季節はいつの間にか姿を変えていて



飛翔くんと迎えた2つ目の季節は、秋となった。



これから冬がきて、年が明けて、春を迎える頃にも、そしてまた飛翔くんと出逢えた季節も一緒に迎えることはできるのだろうか……




そんなことを考えてしまいながらも、未来を奪うことができないのがあたし達の恋愛……。



「流奈……?」


あたしの腕の力がこめられていることを不審に思ったのか、少しだけ体を放すと顔を覗きこもうとしている



見られないそうに、顔を背けながらおもいっきりしがみついた。


「愛してるよ、もう逃げない……」


顔を背けていて正解だと思った。


じゃなければ、あたしは飛翔くんの瞳を見て涙を零していただろうから



「知ってる」そう、おちゃらけてでもいなければ、耐えられないほどで……


その言葉は二度と聞くことのできない言葉だと思っていたからこそ心を揺さぶるものだった。




そして、この温もりは決して当たり前なんかじゃない。



すぐに失いそうになるほどあたし達は脆くて儚いことを、ほんの何日か前あたしは知ってしまったんだ……。