「もしもし?」

「あ、もしもし?」


昨日逢ったばかりなのに、その声は随分聞いていないような気がしてあたしを熱くさせていく


だけど、いつもよりも声が低い気がするのは電話だからなのであろうか


思えば、飛翔くんと電話で話すことは今回で二度目だな……



初めて逢った時にかかってきて以来、今までなかったのだ。




それはきっと飛翔くんなりに状況を理解してくれていたからなのかもしれない。




なんで沈黙が走る中そんなことを考えている自分もいるのは、きっと少なからずその沈黙がいいものじゃないことを察知しているせいなのであろう。







そんな飛翔くんが、急に電話で話がしたいと言ってきた本題をこれからあたしは聞かなければいけないと思うと心臓が暴れ始める。



「どした?」


「今、平気なの?」


「公園で遊ばせている」


「そっか……」



「どうしたの?急に、電話なんて」


沈黙になることが怖くて、すぐに言葉を探しては問いかけてみたが、どうやらその質問こそが沈黙にさせてしまった。


長い時間……



飛翔くんは今、なにを思っているのだろうとそんなことばかりが頭を過る。





次の言葉を探そうとしていても、頭の中は真っ白すぎて全ての言葉をどんどん消して行ってしまう。




その時、深呼吸と思われる小さく吐く息が電話口から聞こえてきていた。