着うたよりも先に飛翔くんからのメールだと教えてくれたのは、手の上で光る携帯の黄色いランプだった。


それを見るだけで、いつか《ホタルがいるよ》なんて言い合っていた日々を思い出す。



いつしか、知らないうちに思い出なんてものは出来上がっていて普段思い出さないこともこうして蘇ってくる。



そのランプと共に、久々に聞いた着うたに涙が零れ落ちそうになる



その音楽を最後まで聞くと、あたしは静かにそれを開いた


《電話していい?》


それはメールの画面であって飛翔くんが目の前に現れたわけでもないのにドキドキと慌ただしく動き出す心臓に息苦しくなる。



すぐさま《いいよ……》と打ち込むと大きく深呼吸しながら、送信ボタンには自然と力が入っていた。



話しってなんだろう……


一歩冷静になれば、今更そんな考えが過ってきて


でも、このドキドキがけっして喜ばしいことではないことは確かで……


携帯を持つ手はひそかに震えていて、今さら何を話せばいいのだろうと不安が押し寄せてくる。


鳴らない携帯を見つめながら《いつ?今?》だなんて焦りのメールを入れてしまったあたしもいる



《今かけるよ!平気?》


と返ってきた時に《大丈夫》だなんて返してもみたが、本当に平気なのか?と問いかけてる自分が心底情けないと思う。


あんな風に冷たく言い放ったくせに、今でもこうして飛翔くんと繋がれたことに期待なんかしちゃったりして



あの時、飛翔くんの傍から離れればいいんだ……そう決心して自分はなんだったのだろうか。




あっ……!!!


もはや、そんな考えを浮かばせてる時間などないというばかりに鳴り出した携帯に、少しためらいながら通話ボタンを押した。