「流奈が初めから結婚してると分かっていたなら、俺は好きにはならなかった……」
結婚している分かってたなら俺は好きにならなかった
“スキニナラナカッタ……”
頬に涙がつたった……
あたしの目から涙が零れ落ちた……
周りにある景色なんて色づいてなくて、あたしの瞳は視界が歪みながらも飛翔くんをはっきりと映し出している。
「最低な男っ!!!こんな男となんか別れちゃいなよ!!」
もう、香織の姿をを見なくても怒りを顕わにしているのがその声から分かる
そう、あたし達の恋愛は初めから間違っていたんだ
形なんて関係ない
そう二人築き上げてきたものが一瞬で壊れて、あたしの心が何かに覆われていく……
そう、間違っていたんだ
初めから、あたしが嘘なんてつかずに飛翔くんに結婚していることさえ言っていれば
傷つけることもなかったんだ
こんなあたしを好きになることさえも……。
だけど、だけどあたしは……
確かなものを見つけてしまった
守りたいと思うものを見つけてしまったんだ
「………でも」
「えっ??なに?」
あたしの顔を覗きこむ香織は普段からじゃ想像つかないほど怖い顔をしている。
ぼやけている視界の先に飛翔くんがあたしを死んだような目で見つめているのが分かる。
その視線は今じゃとても苦しい。
だけど、だけどあたしは……
「それでも、流奈は好きだから……」
そう、あたしは……
きっと、どんな状況でも飛翔くんを愛してしまっていた
そして愛してる
これからも先も変わらずに……



