「てゆ~か、意味がわかんない。割り切って付き合っていかなきゃ、2人の恋愛なんて無理でしょ?」


「俺は割り切ることができないんだよ!!」


「今さら、なに言ってんの?ずっと、そうやって続けてきたんでしょ?好きなら我慢するしかないでしょ?」



「だけど、限界だったんだよ!!俺はずっとは待てないんだよ」



「だけど、そういう人を好きになったんだから、多少は割り切らなきゃいけない部分もあるし、今すぐなんて無理なんだから待ちなよ!!」




そう、他人事のように聞いているあたしがいる。


割り切れないと言っている飛翔くん


限界だったと言っている飛翔くん



真剣な顔をして香織に気持ちをぶつけているのは間違いなく飛翔くんなのに


あたしはいつものあの優しく抱きしめてくれる飛翔くんと重ね合わすことを恐れている。



そして、これが飛翔くんの心の中にいつも抱えていたものだと知りたくなかった自分もいる。




これが夢の中であって欲しいとどこかで願っているあたしもいる



「流奈が……」



その言葉だけを発したとき、あたしは顔をあげ飛翔くんを見つめた。



香織の方だけを向き、あたしを視界から入れないようにしている飛翔くんを見つめていた。