《飛翔くんごめんね、流奈やっぱり離れる事なんて考えられないょ…3時まで待ってるから…来る事信じてる》



涙の痕を拭うと「お疲れ様でした」と逃げるように店から出ると車の中から飛翔くんにメールを送っていた。



いつも流れて続けている二人の大好きな曲は、あたしの手で止められ静かな車内……



向うところは決まっていた



“もしかしたらいるかもしれない”そんな密かな期待を胸に抱いて



「飛翔くん……」


着いた瞬間にその言葉と共に、せっかく止まっていたものが再び目から流れ出す。


「いないじゃん……」




『ばーか、俺は本気だよ?流奈とこれから先すれ違ったりしたら、ずっとここで待っていられるよ?』


『流奈だって同じだよ?』


『いやぁ~流奈は無理だなぁ……』


『なんでよ!!』


『寂しがり屋さんだからだよ!』




「嘘つき、嘘つき……!!」



車から降りると、その場にうずくまり



静かな秋の夜中に風と共に絞りだされるような声と泣き声が響きわたる




ずっと我慢していた涙が溢れだしてきて、しめったアスファルトの上にどんどん模様を作っていく……



ここにくれば再び手を繋ぎ合わせることができたのに


喧嘩したときも


すれ違ったあの日も


ここにくれば、飛翔くんがあたしを壊れものを扱うようにそっと抱きしめてくれた




あたしはそんな飛翔くんにずっと甘えていたんだ