「今日は出勤するんだろ?」


「うん、いい加減やばい……」



珍しくも風邪をこじらせて店を一週間ほど休んでいた


そう、飛翔くんとも一週間逢えていない


熱よりも、体の関節の痛みよりも、飛翔くんに逢えないことの方がよっぽど辛くて


いつも朝まで続けていたメールも《早く寝て治せよ》なんて冷たいことを言われて……



この一週間本当に病んでしまっていた。



体力的にも精神的にも……


《やばいのは俺だよ…笑》


《寂しかった?》


《うるっせ!!今日は逢えるよな?》


《うんっ!!!》


逢いたくて、逢いたくてどうしようもない思いが、行動へと変わっていく


夕飯も早く作り、化粧もいつもより早くし始め念入りに


しまいには「買い物があるから」だなんて早く家を出てしまった。



自然とアクセルを踏む足にさえも力が入っている、いつもの二人の秘密の場所に行くに連れてどんどん心臓の動きが活発になっていく……



「飛翔くんっ!!!」


先に車が止まっているのを確認すると、飛翔くんが外で下を向いて座りこんでいて、待っていた場所まで駆け寄った。



「どうして外にいるの?」


薄着で、少し寒そうにしている飛翔くんに話しかけると顔をあげて笑顔を見せた。


「逢いたかった、流奈に……」


そう、抱きついてきた飛翔くんは少しだけやつれたように感じた。


「ねぇ?ちゃんとご飯食べてる?」


のぞき込むと「え?あ、うん……」と顔を反らした。


「痩せたよ?」


「流奈もな……」


悲しそうに、笑う翔クンに胸に痛みが走っておもいきり抱きしめた。



かける言葉が見当たらなかった


大丈夫?なんて、そんな言葉は無意味だ


そんな言葉よりも与えてあげなくてはいけないものをあたしは知っているのだから……




あたしはどれだけ飛翔くんを苦しませればいいのだろう


どれだけ傷つけ悲しませれば……





本当はあたしがから離れることが


一番いいのかもしれない



いっそのこと、嫌われてしまえばいいのかもしれない。