秋の風が冷たくてなぜだか心に染みる


飛翔くんとはきっと上手く行ってるのだろうけど、なんだか心のもやもやがずっと残っている。


まるで、一生懸命ギリギリの所で繋がっているようなそんな感じ


たとえば、一瞬でもどちらかが繋いでいる手をなんらかの形で外すものなら


簡単に別々の道へと落とされて行ってしまうような、そんな気がしてならない。



飛翔くんと逢った後、前なら顔が緩みっぱなしだったのに、最近じゃ寂しさが襲い不安になる



それはやっぱり、季節が変わってしまったせいなのだろうか。



そう思った方がいくらか救われるだろう……



「そろそろ時間だよな?」


「うん」


どんなに楽しい話題で盛り上がっていても、


あたし達が離れなくては行けない時間は規則正しく迫ってきている。


「よし!!じゃぁ、最後にくっついておこ~っと♪」


そんな風に言ってくれているけど、本当は顔も引き攣っていてあたしを抱きしめてくれている裏側ではきっと悲しそうな顔をしているはずだ



「ば~かっ!!!」


それでも、気付かないふりをしてあたしは今日も戻らなくては行けない場所へと帰るんだ



「じゃぁ、またな♪」


「着いたらメールするね!!」


「おう!!」



飛翔くんの車から降りてしまった瞬間、あたしは無理やり現実の世界へと引きづり込まれるんだ



「ばいばい♪」



そう笑顔を向けるあたしは、とても嘘つきだ


本当は悲しみの深い底まで落ちているのに、それでもあたしは笑う




あたしが嘆いてしまったら終わってしまうことくらい


自分でよく分かっているから……



そんなあたしも、いつまでこんな風に笑っていられるのだろう