「もう少しでアルバムが出るよな?」


「あれ?いつだっけ?21日だっけ…」


今日も、店の行く前に飛翔くんの車の中であたし達は少しの時間でも秘密の場所で笑い声をあげていた。


そしていつも同様、二人の大好きなアーティストの音楽が流れている。





「うわぁ〜最悪!ファン失格だろ?22日だよ!」


「そうだっけ?くっそー先に手に入れてやるんだから!」


「俺はちゃっかり予約してんもん♪」


「うわぁ〜参りました!それはやってないな」


切ない曲が流れるとあたしは決まって飛翔くんに抱きつく


そんなあたしに「可愛いな♪」なんて言いながら大きな手で頭を撫であたしにいつもこうやって聞いてくるんだ。


「冷めたりしてない?」


思えば、いつも逢うたびにあたしの気持ちを確認する



「大好きだよ」



そう答えれば、大きな胸であたしをおもいっきり包んでくれる。


その度に心の中で“愛してる”と呟いていた。




季節はもう、変わっていて


飛翔くんと出逢えた頃の心地のいい風なんてものは感じられなくなった。



夜の風は、肌寒いどころじゃなく


あたしにとっては寒いの分類に入る



そんなあたしの寒がりを知っている飛翔くんはクーラーをかけることもなくなった。


あたしの為に設定していてくれたクーラーの温度


24℃ーーー


光ってデジタルの数字が教えていたのに、今はもう表示されてなんかない。



それに少しだけ寂しさを感じた。



「どした?」


「ううんっ!!」


それでも、あたしの隣には飛翔くんがいるんだ!!


そう思いながら、腰に腕を回した。