飛翔くんが片手でお腹を押さえながらケラケラと笑っている


そんな姿をしていても、あたしは平常心を保つのに一生懸命だった。


深呼吸をしながら小さくため息をつくと「ほんとにどこに行くの?」そう冷静を装ってジュースに口をつけた。


「ホテルだよ」


「ぶっっ!!!」


はっ???


普通に答えた飛翔くんに、あたしの口に含んでいたものが飛び散った。



「お前、なにやってるんだよぉ~!!アハハハッ~」


慌ててバッグからタオルを取り出すと、濡れた自分の洋服を拭いた。


その姿を見て、また笑い出す飛翔くんを横目で睨むと「さっきのお返し~♪」なんておちゃらけていた


「ばかっ!!」


そんな風に行ってみたが、あたしの顔はまた火照り出す


心臓は再びさっきよりも速さを増し、言葉が見つかるどころか、飛翔くんの姿さえ見ることができなかった。



長い沈黙……


それが窮屈で飛翔くんを見ると、真剣な顔をして運転をしているのか何かを考えてるのか分からない




「飛翔くん……」
「流奈……」


視線を窓の方に戻しながら飛翔くんの名前を呼ぶと、あたし達の声は重なっていた。


「なに?」

「どした?」


そして再び重なった声に、二人顔を合わせ笑っていた。


「いーよ、流奈から話しなよ?」


「飛翔くんから話してっ」


ふぅ~と深呼吸をしながら大きく吐くと飛翔くんはあたしを見つめていた


「俺、行ったら間違いなく流奈を求めるよ?」


その言葉にさっきと違う胸の高鳴りを感じた。


『もう二度と流奈に触れたりしね~から』


そうあの時、悲しそうに苦しそうに言った飛翔くんの顔が浮かんでは消えた。


「うん……」



「いいの?」



「うん」


少し、引き攣りながらも飛翔くんはあたしに笑ってみせた。