「あれ?今帰ってきたの?」


はっ……--!!!



いつの間にいたのであろう。


あたしは携帯の画面をずっと見つめていて、目の前にいる旦那の姿なんて視界に入っていなかったんだ。



咄嗟に閉じた携帯と共に、「違うよ~!!色々サイト見ていただけ♪」


なぜだか変に明るく振る舞っている自分がいて自分でさえ怪しいと思ってしまった。



「ふ~ん、」


そう言いながら、あたしの横に座り「お疲れさん」と頭を撫でてきた。


「お風呂入ってくれば?」


いつもは帰ってきてすぐに入っていることを旦那は知っているのだろうか……



そんなことにも脅え始めていた。


いつも帰りの時間を知っていたら……


「うん、もう少ししたら入るよ!それより目が覚めたの?」


「ああ、なんかな……」




一向に布団に戻らない旦那を見て、あたしは耐えられなくなり携帯を片手にタバコを吸いにリビングからはなれた。



「流奈、風呂早く入ってこいよ、入らないなら、それ吸ったらこっち来いよ」


優しい声でそう言った旦那にあたしは一気に鳥肌が立った。


旦那が求めているものは分かっている。


だけど、今日だけは……


今日だけは、そんな気持ちになんて絶対になれない。


だけど、旦那を一度たりとも拒否したことなんてない。



こんなにタバコが短くなるまで吸ったことなんてあっただろうか……


そう思いながら、灰皿に押し付けると、旦那のいる部屋に戻った。