「あれ?そーいやぁ、流奈の車は?」
「あっ……!!」
「えっ?」
「コンビニに置いて来ちゃったよ」
「はっ?なんで?」
そう言えば、あたしはコンビニに車で行きながら帰りは飛翔くんのことを考えていて、ひたすらこの場所へと向かっていた
歩いて……?
不思議そうな顔している飛翔くんと、あまりにも自分の行動のおかしさに笑いが止まらなかった。
「ここで待ってて、タバコなくなって、トイレも行きたくなってぇ、コンビニにトイレ借りに行って、これ買って歩いて来た」
持っているペットボトルを飛翔くんの目の前に突きだす。
「はっ?トイレ借りてタバコとジュース買って車に乗らずにここまで歩いて来たって事?」
「そう……」
飛翔くんが不思議そうな顔をしながら、あたしの顔を伺う。
そんな顔をされても、あたしだってよく分からない。
「はっ?意味がわかんない、車の存在を忘れてたって事?それとも歩きたい気分だったの?」
「車の存在は忘れてて歩きたい気分だったのかも……」
「アホだぁ……!!」なんてお腹を抱えて笑っている飛翔くんを見て、なんだか無償に気分が悪い。
元を辿れば全て飛翔くんのせいなんだ。
「誰のせいだと思ってんのよ……」
「はっ!?俺のせいかよ」
「頭ん中が飛翔くんだらけだったの!!なんか文句ある?」
そう、全ては飛翔くんのせい
こんなに狂おしいほど、好きにさせたのも……
「いくらそうだとは言え、乗って行った車を置いて帰るかぁ?」
いきなり笑い声が止まったかと思えば、後ろから飛翔くんの体温で包まれる。
「ごめんね…」
「ばーか!離さねぇよ……」
だけど、
こんなにも、あなたを苦しめ傷つけたのは
あたしのせいなんだよね。
気づかれないようにしていたんだろうけど
あたしは分かっていたよ
飛翔くんが、あたしを抱きしめながら涙を流していることを……



