自分の想いが時には相手を深く傷つけてしまう。


愛しい人をこんな姿に変えてしまう。



笑いあってたあたし達……



だけど、人はみな欲のある生き物



欲を出してしまえば、こんなにも脆い……




もうこれ以上、あたしはこの場所にいてはいけない。


「飛翔くん。流奈ね……」


「流奈……、俺は流奈を愛してる」



何かを察知したのか、少しだけ笑った後、真剣な顔をしながらあたしの目を見てそうはっきりと口にした。


その言葉に、あたしは震えだす唇をかみしめた。



「流奈は汚れてる……」



「飛翔くんに抱かれる事なんて出来ないんだよ……」



飛翔くんの胸の中で涙が溢れだす


好きだから離れなくてはならない



好きだから飛翔くんに幸せになってもらいたい



「流奈、俺は……」


何かを聞いてしまえばあたしはまたこの心地のいい胸の中から出れなくなってしまう


「だからね、もう……」



「流奈を愛してる……」



その言葉はあたしの言葉を封じた。


苦しいくらい力いっぱいあたしを抱きしめてくれている飛翔くん




“流奈を愛してる……”




あたしの決心を鈍らせるきっと、一番聞いてはいけない言葉。



「泣いていいよ、俺が傍にいるから……」


その時、なにかがパンクした


あたしの中に今まで封じ込めていた全てが……




止まらない涙


それがどんどん溢れだしてきて



そんなあたしの背中を、飛翔くんの大きな手でさすってくれていた。