「あっ……」
ダッシュボードの上に置いてあった携帯が黄色くラランプを点滅させている。
手に取ると、その受信の相手が飛翔くんだと分かっているだけに、再び胸の鼓動が速くなった
《俺、ずっと待ってるから……》
そのメールがあたしの涙腺を再び開けた。
「どうして……」
なんて勝手な女なんだろう。
勝手に好きになって、後から結婚している真実を告げ
それでもいいと色んな気持ちと葛藤しながら、いつもあたしの傍にいてくれた飛翔くん。
きっと、あたしの辛さなんて可愛いものなのかもしれない。
なのに、いつも自分だけがいっぱいいっぱいで
自分だけが苦しいかのように一人、飛翔くんの傍から消えてしまうことばかり考えて
お互いが好きなら、いつか体を求めてしまうことが訪れることなんて分かっていたはずなのに……
一体どこまで、飛翔くんを苦しめ傷つけるのだろう……
「ご、めんね……」
携帯を持つ手が震え、あたしは声をあげて泣いた。
こうしている間にも、飛翔くんはきっとあの場所で……
もう一度、開いたままのメールを見ると
ギアをドライブに入れアクセルをを強く踏み込んだ。



