「流奈っ!!!!」
車に乗り込み発進させた後、飛翔くんの声が聞こえた気がした
いつもなら、バックミラーで確認するけど
今日は、見ないように真っ直ぐ前を向いた……
帰り道とは逆に車を走らせていた。
どこに行くのかなんて分からない……
ただ、ひたすら走り続けた。
見えないんだ……
雨のせいなのか、それともあたしの目から何かが溢れ出しているせいなのか、
視界が悪くなっていく。
露地に入ると車を止め、声をあげて泣いた。
そして、小さな公園が目の前にあり、あたしはエンジンを切り、車を降りた。
その公園は凄く古臭くて誰も立ち寄らなそうな場所で
なんだか寂しそうに見えた。
古ぼけている、今にも壊れてしまいそうなベンチ……
そこに静かに腰を下ろし、手で撫でた
「形あるものは、壊れてしまうんだ」
「形がなくても壊れちゃうのはなんでだろう」
一人呟きながら、上を見上げ雨にあたった。
雨が代わりに泣いてくれている
あたしの目から零れおちる涙よりもっと激しく
あたしの顔を流れおちる
今日だけは、そんな雨を少しだけ好きだと思った……



