「飛翔くん、ありがとう……でも流奈さ……」
「知りたいんだ!!流奈の抱えてるもの、全てを!!」
涙か静かに頬をつたった
許して……
消えるならせめて、綺麗なままのあたしでいたい。
せめて飛翔くんの中だけでも、あたしは綺麗なままでいたい……
「嫌いになんてなるかよ、そんな中途半端な気持ちだと思うか?」
「………」
「流奈を愛してる」
愛してる……
あたしもあなたを
こんなにも……
だからこそ、もうあなたの傍にいるのは限界なんだ。
あたしの体を包み込む飛翔くんの大きな体
あたしが飛翔くんの肩にもたれかかっているせいで涙でTシャツが濡らされていく
そして、あたしの洋服も、飛翔くんの温かい涙で濡らされていっている。
強く目を閉じ涙を拭いて、唾を飲み込んだ
「流奈ね……」
「うん」
心臓が速く動きすぎて呼吸が苦しい
おもいきり息を吸い込みながら、吐くと同時に言葉にした。
「……流奈は、飛翔くんが思ってるほど純粋な女じゃない」
「………」
「飛翔くんが思ってるほどの女じゃないんだよ!!」
歌が途切れてしまったのか、
それとも周りの全ての音があたしの耳には入ってこないのか
静かな車の中で、あたしの悲しい言葉だけがはっきりと聞こえた。



