「嫌いになるよ?全てを知ったら飛翔くんは流奈を嫌いになる」
飛翔くんの体から自分の体を離すと、そうはっきりと伝えた。
あたしは綺麗な女じゃない
心も体も、汚れていて
それはきっと修復することなど出来ない。
あたしがこれ以上、傍にいたら飛翔くんさえも汚れてしまう。
あなたのその、純粋に光ってる目が好きで
あなたのその、綺麗で真っ直ぐな心が大好きで
あなたのその、大きくてあたしをそっと抱きよせる手から愛さえも感じられて
あたしは、真っ白で綺麗なあなたが羨ましかった。
「流奈……」
「なに?」
「俺、流奈の全てを知りたい」
何も聞かれないなら話すことなど、ないと思っていた。
こんなに綺麗な青空の下で
汚れている世界を知って欲しくなかったのか
それとも、醜いあたしの中を見られるのが怖かったのか
答えはきっと間違いなく後者の方だろう。
あたしはきっと、純粋な飛翔くんに全てを見透かされるのが怖かっただけ
それで、あなたがあたしの前から消えようものなら
自分から消えてしまおうと
ほら、いつだってこうやってあたしの中のずるい部分が苦しめる。
飛翔くんの真っ直ぐな視線から時々目を反らしていたのも
“あたし”を知られてしまうことが
ただ、怖かったから……。



