ゆっくりと飛翔くんの体が離れていって、あたしに背を向けて腰を下ろした。


「ごめん、ごめんな」



「ちがうの……飛翔くん聞い……」
「いや、いいよ。もう2度と触れないから……」



「だから、違うんだってば……」


あたしは飛翔くんに抱いてもらえるほど……

綺麗じゃない。



「俺もさ、男だから流奈を抱きたいって思うんだよ、でもごめんな、今度流奈に触れたらひっぱだいてな」




胸が苦しくて、壊れてしまうかと思った。


飛翔くんを拒否しまったこと……


そして、その時の飛翔くんの顔……



あたしは……


こうなることに脅えていたんだ。



「飛翔くん、嫌な訳じゃないんだよ、ごめんね」



だけど、あたしのしてしまったことは……



深く深く傷つけた。


「飛翔くん…」


怒りなのか、悲しみなのか分からないが、少しだけ震えている飛翔くんを抱きしめたが


飛翔くんの腕はあたしに絡みつくことはなかった。



“どうして……”


抱きしめた手の力を少しだけ緩めると「言ったろ?触れないって」そう静かに言った。





力が抜けた……


あたしは一体どんな表情で飛翔くんを拒んでしまったのだろう。





だから、あたしは人を好きになってはいけないんだ



傷つけることしか出来ないのだから……


綺麗な飛翔くんを汚すことになってしまうのだから……。