あのメール以来、何もなかったかのに


いつも通り、飛翔くんと一日中メールをしながら店があれば出勤前に逢う約束をし、


お互い、何かを埋めようと必死に抱き合っていた。


離れてしまうことに恐れ、時間を気にしないようにしているはずなのに、


二人とも視線は自然と車の中にあるデジタル時計に向けられる。




あたしと飛翔くんの好きなアーティストの曲を聞きながら口ずさんでは



二人悲しいメロディーに自分達を重ね合わせ肩をおとしていた。



一緒にいたい、もっと傍にいたい。



欲を出してしまえば、振り返ることを忘れてしまうことになるだろうと自分でも良く分かっていたはずなのに、


あたしの気持ちは、もはや抑えることが出来ずにいた。




飛翔くんの腕の中にずっと居たい




「一緒にいたい……」




好きになればなるほど辛くて


苦しくて、飛翔くんの腕の中に納まりながらも……


「俺もだよ、時間が足りねぇーよ」



あたしは、自然と車の中の時計に目をやった


あたし達に残されている時間は後5分くらい……


おもいっきり目を瞑ると「ちょっと待ってて!!」そう言いながら飛翔くんからはなれ携帯を持ち車の外に出た。