「あれ?また今日も店か……」


帰ってきて、鏡の前で化粧をしているあたしに旦那がそう呟く。


「うん、そうだよ」


「最近、働きすぎじゃね?体壊しても知らねぇぞ!!」


そう言いながら、風呂場に直行した旦那を目で追いながら深いため息を落とした。



あたしが出勤日数を増やすに連れて、比例するかのように、休んだり、早く帰ってきてはゲームをしている旦那。


あたしが仕事に多く出ているから大丈夫だとでも思っているのだろう。


どんだけお金に苦しんでいるのかさえ説明したところで、どうにかなる!しか言わないくせに……



一瞬止まっていた手を再び動かすと、あたしは鏡に映る自分の顔を見つめていた。



少し荒れた肌は寝不足や過労からくるものなのであろうか……


目の下にもクマが薄すらできている。



でも、あたしのいる世界は、そんなあたしの顔すらも暗闇の世界で隠してくれる。



コンシーラーを塗り、いつもより保湿を多くすると、再び化粧にとりかかる。



その時、あたしの化粧ポーチの近くで飛翔くんからのメールを知らせるランプが光り放っていた。



《流奈を愛してる……ずっと一緒にいたい……》



そのメールを見れば、あたしの鼓動は速さを増し、一瞬だけ現実の世界から遠ざかる。



暫くそれを見つめては、返信をせずに、化粧を終わらせた。