「流奈ごめん……」


「いいよ……」


隣で窓を見つめながら、ちゃんと聞いていないと聞き取れないような小さな声でそう呟いた。



飛翔くんに信じてと言ったところで、きっと不安を取り除いてあげられることなんて不可能なんだ。



苦しみや辛さを抱えてあげることなんて出来ない。



「嫌いになったよな?冷めただろ…?」


「えっ……?」


もしもそんなことが出来るとするなら、あたしは飛翔くんが抱えているもの全てを奪いたいと思う。



「飛翔くん……?」


「俺、不安なんだ……流奈がいなくなる事が怖いんだ」



そうしたらきっと、あたしの大切な愛しい人にこんな悲しげな顔をさせなくてすむのだろう。



「大丈夫、大丈夫だよ」



あたしは飛翔くんをを包み込むように抱きしめた。



「流奈ごめんな……」



その言葉が、あまりにも悲しすぎて、答えられる言葉はもう、持ち合わせてはいなかった。