“仕事だから”


あたしにとっては、その言葉ひとつで逃げられる時もある。


その言葉1つで追い詰めてしまうことも出来る。



だけど、自分にとっても、時には逃げられないことも、追い詰められることもある。



あたしの仕事は飛翔くんを苦しめている。



頭では分かっているつもりだった。


だけど、実際……



飛翔くんとバイバイして仕事にいく自分。

切り替えなきゃいけない自分が1番辛いって思っていたのかもしれない。



そして理解をして貰うつもりもないと思っていた。



「辛い思いばかりさせて、苦しめてごめんね、でも信じて欲しいの。お客さんとは何もないの」



〝信じて……”


この言葉はあたしにとって大嫌いな言葉。


飛翔くんん以外の男の人に使ったことのない言葉。



自分の口から『信じて』なんて、胸を張って言えるような女じゃない



むしろ『いつ、裏切るか分からない』そのほうがよっぽど胸張って言えるくらいだったのに。



「そもそも、客と連絡取ってる事が、俺には耐えられないんだよ」



「……」



“信じて”そう、言葉を発したあたしに向って言い放ったその言葉は、あたしの口を閉ざさせた。