「俺、フィルム貼ちゃった!!」


「えっ??」


「助手席も運転席も、外から全く見えないよ!!」


「飛翔くん……」



飛翔くんは気づいていたんだ


あたしの小さな行動さえも……


乗り込む時にどうしても辺りを見渡してしまう。


もしかしたら、自分が一番、普通の恋愛ではないと、決めつけていたのかもしれない。



飛翔くんには、気にしていることを責めたりしたこともあったのに



本当は自分が一番……。


窓を見ると、さっきまでは全然気付かなかったが、車の中からでも外は明らかに見えにくい。



でも、あの短時間で……?



そう思うと涙が溢れそうになっていた。


窓にそっと触れた



飛翔くんがあたしの為に張ってくれた真っ黒いフィルム



後ろの座席も全て



きっと、運転する時は見えにくくてしょうがないはずなのに……




「これで、平気だろ?」


「ありがとね……」



飛翔くんが幸せそうに笑う顔を見て、“このまま二人で……”そんな気持ちが少しだけ、頭の中に過りながらも必死に打ち消した。