「だから言ったじゃん……」
「なにが……?」
これも運命というのなら、あたしはやっぱりそれを恨むでしょう。
そんな簡単な言葉1つで片付けられてしまうのなら
やっぱり神なんていやしないと。
だから、だからあたしは心も感情も捨てたんだ……
「好きでも、どうにもならないこともあるって」
飛翔くんの目を反らさなかった。
あたしを捉えるその瞳はやっぱり悲しげで、何処か冷たい。
嫌われたっていい
最低な女だっていい
全てのあたしはいくつもの仮面を持ち合わせてる女なのだから。
「………うよ……流奈……それは違う」
決して逸らさない飛翔くんの視線は、やっぱり真っ直ぐすぎて、一瞬だけ目を反らしてしまったあたしがいた。
「流奈っ!!」
「えっ?」
「それは状況だよ、結婚してたりしたら、あるかもしれないけど、でも結婚してたって、気持ちがあれば、どうにかなったりもする。絶対なんて言えないけど、でも本物なら……」
「本物なら……?」
いつの間にか、車の中で流れていた、あたし達が好きなアーティストの曲は止まっていて、静まりかえっていた。
「ねぇ、本物なら?」
「どうにもならないことなんかねぇよ!!!」
その言葉で、あたしの中で真っ二つに割れた気がした。
「本物なら、どうにもならないことなんかねぇんだよ!!」
そして、あたしの周りの時間だけが止まっていて……
飛翔くんから目を反らせずにいた。



