「あの子には、小さな時から苦労をかけました…」

真奈美が抱いていた心の傷―

孤独を芽生えさせたのは自分のせいなのだ、と松田さんは口にした。

「真奈美と弟達の父親は、違う人なのよ。真奈美はね、養父に襲われてしまった…」

長い間ロックしていた悲しい過去を思い出した松田さんの目には、涙が溜まっていた。

彼女が13歳の時、事件は起こった。

母親が弟達を連れて買い物に出ている間のことだった。

部屋で本を読んでいると、突然、部屋の戸が開いた。

背筋をビクッとさせながら、戸の方を見ると、そこには酒で顔を赤くした養父が立っていたのだ。

こんな昼間から飲んでるなんて…

彼女がそう考えた瞬間、大人の男の力で押し倒されていた。

あまりの唐突な出来事に、何が起きているのか解らなかった。声を出そうにも、大きな手の平で押さえ付けられ、思うように出ない。

「怖いか?」

養父は静かな口調でそう尋ねた。彼女は恐怖から涙と鼻水を垂らしながら必死でうなずいている。それを見た養父は、ほくそ笑んでいた。

13の少女には、もうこれ以上抵抗などできなかった。着ていた服を引き裂かれ、なされるまま我慢するしかできなかったのだ。