騒がしい朝にひと区切りついた午前中―

青々と茂る庭の木が、爽やかな風に揺れ、キラキラと光る太陽の日差しを浴びながら、私はいつものあの狭いベランダで洗濯物を干していた。

「今日はいい天気だなー」

思わず洗濯物を干す手を休め、頭上に広がる雲ひとつ無い空を見上げてしまう。

そしてそんな空を眺めながら私ははつい微笑むと、また洗濯物を干す作業に戻っていた。

そこにあるのは、私にとっての日常だった。

どこにでも転がっている"平凡な生活"。

しかし、私にとってそれは掛け替えのないものであることに間違いは無かった。

優しい夫に、かわいい子供達。

人付き合いが苦手な自分にとって、これほど大事なものはないのだ。

（干し終わったら、コーヒーでも入れて一休みしよう）

眩しい日差しに目を細め、私は額にかいた汗を拭いながら残りの洗濯物を干していた。