思考回路はまだストップしたまま、目を見開いてあたしはただ、ボー然と立ち尽くした。


一体、何が起きているんだろう?

どうして、あたしはキスされているんだろう?

この状況は一体なんだ?


なんであたしはここにいるんだろう?



頭の中に浮かぶ無数の?マークの数を数えることも打ち消すことも出来ずに、ただただ、ボー然と立ち尽くした。


そしてゆっくりと、相川くんの唇の感覚が自分の唇からなくなったのに気付いたのは、相川くんが少し照れた顔で「あんまジッと見つめんなよ。照れるじゃねーか」と言った時だった。


その瞬間、さっきまで自分の身に起きたことがグワッと一瞬にして脳裏に蘇り理解した。瞬間。



「ウギャーーー‼︎」


あたしは大声で叫び、相川くんの体を両手でボンと勢いよく押した。
その反動で、相川くんの背中が勢いよく
壁にぶつかると


「イッターーー‼︎なにすんだよ⁉︎」



痛さで顔を歪めながらそう叫んだ。


「なにすんだよって、こっちの台詞よーー‼︎」


気づいた時にはそう叫び、あたしは、勢いよく今まで出した事のないスピードで、その場所を走り去っていた。


「信じらんない!信じらんないよ‼︎」


そう何度も叫びながら。