「お前…」

うっ…ヤバイ。やっぱり気づかれたかも。

そう思ったあたしは、咄嗟的に、相川くんにクルリと背を向けて走り出した。


逃げなきゃ。何か言われる前に逃げて誤魔化さなきゃ。


なんて考えていたあたしは

「ちょっと待て!」


簡単に追いかけてきた相川くんに捕まり、腕を掴まれた。


「イタッ!ちょっと、離してよ‼」



思いっきり振り払おうと、腕をブンブン振ってみたけど男の子の力に敵うはずなく。

「逃げるなって」


あたしは、腕を掴まれたまま、壁際に追いやられ身動きできなくなってしまった。